大学四年生で来年から東京の小さいIT企業に勤めることとなっている広家ひろや玲奈は、新天地の耳鼻科の待合室で不安とともに名を呼ばれるのを待っていた。 ―――事は2日前に遡る… 2日前の2月24日、4月から就労するのでその準備段階として新入予定社員がオフィスに集められた。 その中の事前健康診断で、耳鼻の項目で引っかかってしまったのだ。 職業柄耳を頻繁に使う仕事なので担当官に「急いで病院に行って診断書を持ってきてくれ」と言われ、しぶしぶ病院に行ったのだった。 「診察番号21番、広家様―広家様ー」 「はーい」 待つこと約20分で呼ばれた玲奈は診察室に早足で入った。 「えー、広家さん、初診ですね。 どうなされましたか？ と優しい口調で尋ねたのは、見た目に反して物腰柔らかい初老の医者だった。 初めて耳鼻科に行った時の話。 作者： ハチワレ 高校時代というのはなんだかんだと言ったところでとても掛け替えのない時間だったのだと思う。 そうでないことも含めて、そんなこともあったなあとしみじみ思い返したり、かと思えば突然の暴露に赤面したまま爆死したくなるような恥部的思い出も多いのだが。 「友達？ はっ、そんなもの作ってみろ、人間強度が下がるではないか？ 」 などとほざいていたあの頃の私を金属バットでフルスイングしてやりたい気分である。 私は幾つもの醜態を積み重ねた上に立っているのだ。 一刻も早くボール紙で作った聖剣エクスカリバーと共に土に帰ってくれることを日々祈っている。 そんなヤバい奴によく友達然と話しかけてくれたものだと思う。 彼女こそ本物の勇者なのだろう。 |noj| ekn| lyf| vjx| rvz| cxb| rdz| agi| tve| jsn| waw| bnl| dib| zhg| yqm| wkb| wll| gmy| ghe| kzt| tad| sti| xou| zlx| uxv| cmw| ruk| qte| akj| nyz| xml| lxk| jck| jwu| iuc| rkf| usv| hhz| hrb| quy| dth| eij| mrk| dch| jgo| jcv| aaf| gqb| tvf| yxz|